新聞や雑誌、チラシ、ポスターなどに情報や色彩を表現するために使用される印刷インキは、色を表現するための青、赤、黄、黒などの顔料と、それら顔料を均質に分散させ、かつ紙などの媒体にしっかりと接着させるための合成樹脂、そして、インキの粘性や、流動性をコントロールするための溶剤などからつくられています。ロジンは、顔料を均一に分散させる機能に優れており、私たちはこのロジンと接着性に優れたフェノール樹脂を独自の合成技術で組み合わせた「ロジン変性フェノール樹脂」の商品開発を行っています。私たちが提供するこの合成樹脂は全世界のインキメーカーに供給されており、印刷インキ用樹脂では世界トップシェアを誇っています。
創業以来培ってきたロジン変性技術を活用することで、これまで以上に、環境にやさしく安全で、印刷物を美しく仕上げ、なおかつ印刷のスピードアップとローコスト化を実現する、よりクオリティの高い印刷インキ用樹脂の開発に努めています。
塗料は自動車や工業製品、住宅をはじめとする建造物から日用品に至るまで、さまざまなものをさびや劣化から保護し、美観を整えるために使われています。塗料は、色を表現するための顔料や染料と、それら顔料や染料を各種被着体に接着させ、かつ塗装された塗料の表面を保護するための合成樹脂、および塗料の粘性をコントロールするための溶剤からつくられています。私たちは金属、プラスチック、コンクリートなどに直接塗装する下塗り塗料から耐候性と美観が重要な上塗り塗料まで、それぞれの塗料に最適な塗料用樹脂をカスタマイズし、ニーズに応じた製品を提案しています。近年では、塗装環境の改善を目的にVOC(揮発性有機化合物)を低減させたハイソリッド型塗料用樹脂やVOCを含まない水系塗料用樹脂などの開発も積極的に進めています。
ロジンは、手で触れるとネバネバした粘着性があることが分かります。接着剤や粘着テープの接着力を高めるためにロジン誘導体を添加するという方法があります。添加するロジン誘導体の種類やその添加量により、接着剤や粘着剤にさまざまな特性を付与することが可能になります。このように使用されるロジン誘導体は、タッキファイヤー(粘着付与剤樹脂)と呼ばれ、私たちは、多種多様のロジン系タッキファイヤーを取り揃え、世界中のユーザーの要望に応えています。
自動車タイヤの多くには、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)という合成ゴムが使用されています。SBRの製造法のひとつに乳化重合法とよばれるものがあります。乳化とは水に溶けない物質を水中に分散させる方法ですが、ロジンは乳化に適した特徴をもつ化学構造をしているため、乳化剤として利用されています。私たちのロジン系合成ゴム用乳化剤は、自動車の性能の進歩とともに求められるタイヤの性能アップに貢献しています。
サイズ剤とは、紙の吸水性を制御してインクのにじみを防止する薬品のことで、その効果により、紙に高い筆記性や印刷性を付与することができます。ロジンには、高い撥水性があり、それだけでサイズ剤としての効果が期待されますが、私たちは、独自の技術でロジンに各種加工を施し、多種多様な紙の製造条件に合わせた最適なサイズ剤を提供しています。ロジン系サイズ剤は、一般的に内添サイズ剤と呼ばれており、紙をつくる抄紙工程でパルプと水との混合物に添加されて使用されます。私たちは、この内添ロジン系サイズ剤に加え、抄紙後の紙の表面に塗布して使用される表面サイズ剤の開発、製造販売も行っています。
段ボールの素材となる板紙や新聞紙などには古紙が積極的に利用されていますが、古紙の含有率が高くなることで紙の強度は低下してきます。このようなリサイクル率の高い板紙や紙に、強度を持たせる役割を果たすのが紙力増強剤です。紙力増強剤は、水溶性ポリマーが主成分ですが、私たちが長年培ってきた水系重合技術は、高機能な紙力増強剤の開発に応用され、板紙や新聞紙の強度向上に役立っています。紙力増強剤もサイズ剤と同様に、抄紙工程で使用される内添紙力増強剤と抄紙後の紙の表面に塗布して使用される表面紙力増強剤があります。私たちは、それぞれの使用方法に合わせたさまざまな薬品を取り揃えて、板紙や新聞紙などの品質向上の一翼を担っています。
塗工剤は、出来上がった紙の表面に塗る薬品で、防滑性や撥水性、耐水性を付与する薬剤や、インクジェット印刷時の印字濃度を向上させる薬剤など、さまざまな用途に向けてラインナップしています。また、古紙を溶かして再生紙の材料を作る段階で添加することにより廃棄物の量を抑制する歩留り向上剤など、古紙のリサイクルに貢献する薬品も揃えています。
携帯電話やパソコンなどの電子機器の製造工程で、基板と電子部品を接合するための材料として使用されているのが「はんだ」です。そのはんだの一種であり、微細な金属粉とさまざまな材料を練り合わせたクリーム状のはんだが「ソルダペースト」です。私たちは、ロジンが持つ性質のひとつである金属酸化物に対する還元作用を応用し、はんだの接合力を強くする金属粉とロジン誘導体を組み合わせたソルダペーストを開発しています。また、環境への配慮も重要な使命であると認識し、酸性雨の影響によって廃電子機器から鉛が流出することを防止するために、鉛を使用しない「鉛フリーソルダペースト」の開発にも早くから着手しました。私たちが開発した鉛フリーソルダペーストは、1998年に世界で初めて鉛フリー化を実現したMDプレーヤーに採用されて以来、数多くの実績を積み重ねてきました。
導電性ペーストは、電気が流せる便利な接合剤のことです。私たちの導電性ペーストには、塗料・接着の分野で培われた豊富な経験が詰め込まれています。熱を伝えやすい性質をもち、さまざまな印刷方式にも対応できることから、電子機器部品の実装の高密度化を可能にします。その高い信頼性により、太陽電池の配線やスマートフォンの部品接合など、次代を担う電子機器の生産には欠かせない材料となっています。
また、10億分の1メートル単位というナノサイズの金属粒子を安定分散させたインク状の導電性ペースト「ナノペースト」は、塗布して加熱するだけで高信頼性の金属薄膜を形成できるため、接合材料、配線材料として幅広い利用が可能です。インクジェットを含むさまざまな印刷方式が使えることから、印刷による新しいモノづくり技術「プリンテッドエレクトロニクス」の基幹材料としても期待されています。
アルミニウムの接合技術である「ろう付け」にも、私たちの技術は応用されています。「アルミニウムろう付け材料」は、各種アルミニウム製品の製造工程に使用され、品質の向上と低コストのモノづくりに貢献しています。例えば、自動車エンジンの冷却や車内の空調に不可欠な熱交換器は、軽量化を図るためにアルミニウムが使用されており、さまざまな形状のアルミニウム部品同士をろう付けで接合することにより製造されています。従来は、ろう付けに必要な材料を熱交換器の全面に吹き付けてから加熱することにより製造していましたが、私たちが開発した特殊な塗料状の「アルミニウムろう付け材料」は、ろう付けに必要なところだけに最小限の材料を供給することを可能にし、大幅なコストダウンと品質向上を実現しました。